ホームアドバンテージ

ホームでは昨年5月から10ヶ月勝ちなし、アウェイでは昨年10月から負けなし。

中断期間を含んでいるとはいえ、ホームでの勝利を渇望している清水の人は多いはず。

アウェイに行った人たちからは、「アウェイのいい雰囲気を持ち帰ろう!」みたいな声も多くみられるほどなので、誰もがホームでの勝利に対しての思いは強くなっているに違いない。

 

昨年勝ち星が思うように取れなかったことについて、特に山形戦での最終盤に3-0から同点に追いつかれるようなことは絶対にあってはならないことだったはずだが、防ぐことはできなかった。その時の采配が云々はあるとしてもだ。J2になって、愛媛と松本にスコアレスドロー、札幌に至っては0-2の敗戦となれば失望した人がいてもおかしくはない。アウェイで2勝していたとしても、自分が観戦した試合で勝つのとテレビ越しで勝つのとは受け取り方が全然異なることはおかしなことではないと思う。

ホームゲームは、地元民からしたら気軽に行けることがある。静岡市民からしてみたら「ちょっとスーパーへ」と同じくらいの感覚、いや「ちょっと"おまち"へ」というレベルかもしれない。

清水市はどうか知らないが、旧静岡市の私の周りでは、アピタもマークイズもなかった時代に"おまち"こと静岡の街中にお買い物に行くことが1つの楽しみでありイベントだったと思う。「今日放課後遊ぼうよ!」と誘うと、「ごめん今日は親と"おまち"へ」と言った具合に断られるほど、"おまち"へ行くことイベント感があったのを覚えている。

ひょっとすると"おまち"へ行くよりもサッカーを見に行くことの方が敷居が低いかもしれないし、そうであるといいなという願望も含めて。

少なからず、地元民はスタジアムがぷらっと行ける場所である。それでいいし、もっとそうあるべきだと思う。吹田のスタジアムがショッピングセンター併設で生活に密着しているなんてのはスタジアム立地としては理想だと思っている。日常生活にサッカーが組み込むなんていうのは、狙っても捉えられない状態だろう。いま、サッカーを中心に生活している人たちだって、なろうと思ってなったわけではないだろう?まだ、満員には追いつかない状況で、多くの人に来てもらいたい現状からすると敷居を下げることの必要性について議論する余地はないだろう。

だからと言って、決して地元民がぬるいと言いたいわけではない。実際そういう風に感じている遠方の人もいるようだけれども、絶対数が多い地元民に幅広い層がいることは当たり前のことだとも思うし、他人のことをぬるいだなんて批判する暇があったら、自分ができることがあるはずだ。その段階で自分のぬるさを感じていいだろう。それに身内で競うものではないでしょ?!

 

Jリーグホームアドバンテージが少ないリーグだというのを読んだことがある。

d.hatena.ne.jp

「ホームでの試合は勝って貰わないと困る。プロスポーツは興業なんだから。」というアレになるんです。アウェーでは負けてもいいが、ホームでは勝たないと興業が成り立たないという奴です。スポーツだって、結局は商売なんだからしょうがないんですがね。

 

もっとも、Jリーグはサッカーとしては例外的といっていい位、ホームアドバンテージが少ないリーグなんですが、普通のサッカーリーグは、ホームでは勝率が非常に高いのが特徴です。一番高いのが、MLSで2002~2009年の期間、69.1%という非常に高い割合でホームチームが勝っています。プレミアは63%、セリエとリーガ、ブンデスが65%程度となっており、基本的にサッカーってのはホームチームが勝つ割合が非常に高い訳です。もう一つ、ホームアドバンテージが高いのがバスケットボールで、NCAA(アメリカ大学リーグ)が69%、NBAが62%となっています。NCAA(アメリカ大学フットボールリーグ)もホームアドバンテージが高く、64%ほどあります。

とまあ、こんな記述がありました。ソースについて記載がないのでって疑うわけじゃないんだけど、サッカーってホームアドバンテージが多いスポーツだっていう感覚は自分にはなかったので意外だった。

yutakioka.jugem.jp

Jリーグについての記載はないがこんな記事もあるから、やはりホームアドバンテージ60%以上はあるっていう計算になっているようだ。

ただ、弱いチームがいくらアドバンテージを得たとしても超えられないものもあるだろうし、去年の清水がそれになるはずで、たまたま最後の2試合がアウェイで共に降格したチームには勝って、最終戦は引き分けることができたといった具合だった。

 

今年は、長崎と山形で勝てたことは、実力通りとみていいと思っているし、山形戦に関しては内容がよくなかった中で一矢報いて勝つことが出来た価値のある勝利だったと私は見ているのだが、逆にホームで愛媛と松本に引き分けたこと、札幌にセットプレーから2失点で敗戦していまったことを見ると、ホームアドバンテージが裏目に出てディスアドバンテージになってしまっているようなことを考えてしまいがちだけど、そうではないと思う。

ディスアドバンテージになっているとしても必然なのだと考える。いくら清水がズタボロで降格してきたとしても、どのJ2クラブも最初は身構えて戦うに違いない。所詮の愛媛も札幌も受ける形で入って、ゲームの主導権は清水が握っていたはずだった。ただ、引いた相手を崩す術がまだ確立されていない中で、得点が奪えなかった。札幌戦に至っては、事故のようなオウンゴールからの失点から立ち直ることができなかった結果ゴールを奪えなかった。1点でも奪えれば、と監督はコメントしていたが、その1点を奪うことが容易くないのがJ2だと思う。我々のホーム、相手にとってのアウェイゲームだとしたら引き分けでもOKとなれば尚更慎重にゲームに入ってきて当然のこと。

どっかの記事では、J1よりJ2の方がホームアドバンテージが少ない結果が出ているとのことも書いてあったんだけど、自分たちの弱さを認めリスクを極力抑えて、その中での勝つチャンスを伺うような戦い方がJ2のチームに多いんじゃないだろうか。当たり前だが、全部が全部そうだというわけではなく。

 

相手がそうなることは100も承知で、今年のエスパルスのホームゲームをいかに面白いゲームを増やすか。勝ち試合を増やすか。それが問題だ。

 

私が懸念することがある。左伴社長の言葉を借りるとフラッシュバックだ。

www.s-pulse.co.jp

過去に失敗したり惨憺たる成績でシーズンを終えてしまったチームは、トラウマやフラッシュバックが必ず出ます。それがベクトルをリニアに上げない原因となります。

この時の話では、就任した2015年開幕前の話で今年も残留争い2年目になるシーズンを前にして、シーズン終盤にまた降格争いをすることになるときの話をしていたんだと思うけど、試合に関するイメージも同様で、3-0で勝っていても最終盤で追いつかれるかもしれないなんてきっと、他のチームのサポーターの何倍も不安を抱きながら試合を見るだろう。0-0だと今日も引き分け、0-1なら今日も負けか…という具合に、勝って欲しい!と試合前思っていた気持ちよりも、フラッシュバックしてくる負け試合が不安や不信を募らせてしまっているんじゃないかと思う。選手はともかく、客席のスタジアムの雰囲気に現れているように感じる。ホームのアドバンテージがなくなる瞬間だ。残り15分チームが押し込んできた時、勝ちたい焦りが声援から感じる。それは単純に勝ちたい気持ちから出るもので致し方ないと思うし、勝たなければならないと思って当たり前なのだが、いま1つ冷静に、試合の流れにただただ流されるままになるのではなく、試合の流れをより加速させるべく雰囲気にできないものなのかと考えたりしている。そういうことを考えると、試合が押せ押せになって応援のテンポが早くなることは、かえって裏目に出ているのではないかとも思ったりして、自分の力不足とも感じたりしている。札幌戦に関して言えばキックオフからテンポが早かったし、そこで試合展開も早かったことで押せ押せ感が出ていたと思う。決まれば良かったが結果ゴールを奪えなかった。そうこうしているとセットプレーからオウンゴールを喫する。応援のトーンをどこかで落ち着かせる必要があったはずだった。でも、抑えきれず、そして2点目に関して言えばポストに当たってDF陣が足を止めていたのと同じように応援の手が止まっていたことも印象的だった。あれでは選手に足を止めたことを責められないな、と。

ホームアドバンテージ

悪いイメージを早く払拭して、真のホームアドバンテージを選手たちに与えられるようにしよう。日本平が最高のホームになることがJ1復帰の最低限の条件であり、浮上には欠かせないはずだ。